2018年9月9日日曜日

プロとして生き残るために

絵を描くにも表現活動するにも「お金」は一定の行動や時間の「自由」を得るために不可欠。 「現場にお金を流してなるものか!!」という強い意志すらアニメ業界はじめ、最近の教師勤務時間のニュースに感じる。 予算どうこうではなく、行動の自由を奪うというところにブラック化の狙いがある。

某作画下請け会社の社長に新人募集の相談を受けた時に… 「うちは無名だし、予算もないけど、どうやって人集めをしたらいいか?」 僕「勝算がないなら募集しないでください」 やんわりとアニメ私塾から斡旋してほしいような流れではあったが丁重にお断りした。 何目的で募集しようというのだろうか?

そこの新人採用を2回ほど手伝わされたけど無給だった。 人の時間を何だと思ってるんだろうか? とにかく感覚が「業界」に染まりすぎて一般の常識は一切通用しないようだ。

下請け全般が悪徳ではありません。 下請けでも正社員雇用の会社もあります。 とにかくスタジオの気持ちひとつです。 スタジオを選ぶときはちゃんと雇用状況を確かめるのとヤバイ匂いを感じたら速攻でやめることです。

室井康雄は10年足らずのアニメ業界歴で20社近くの仕事をしました。 アニメーターにとって作品が変われば仕事が変わります。 より上手くなる、より儲かる仕事とまさに腕一本で何社も渡り歩く。 だから最初の一社で上手く行かなかったからと言ってダメ人間ではない。 巡り合わせの問題かもしれない。

あとこれからアニメ業界の入る人は必ず、Twitter、同人などの個人活動はセットにした方が生存確率が上がる。 まず仲間ができる、いろんな仕事の選択肢が生まれる、マネタイズしやすい。 一社対個人の関係では圧倒的にアニメーターは弱者。 業界の仕事は技術向上と売名を主に考える。半身でいること。

自分のことを誰も保証なんてしてれない。 「やめないでくれ」と言われたら時間=ギャラを請求しよう。 絵描きの有限な時間は全てギャラになる。 そのためにも常に他に選択肢を持っておくこと。 一社対個人だと相手の言い値で仕事を受けなければならなくなる。 絵で食っていくときの基本的な考え方。

アニメ業界のいいところは誰かが絵を修正してくれること。 イラスト、漫画家、他の絵描きの話を聞くとこれは希らしい。 だからアニメーターは上手くなりやすい。 これは圧倒的な強み。 しかしイラスト、漫画家ははじめからユーザーの反応を意識して絵を描く。 アニメは会社の上の反応。これが弱点。

twitter、YouTubeなどネットの「個人メディア」を絵描きは使わない手はない。 僕は喋りも好きなのでよく喋る。 絵描きとしての発信力を使わない手はない。

例えば… ・100人フォロワーのアニメーター ・1000人フォロワーのスタジオ ・10000人フォロワーのアニメーター 少なくともtwitter上ではこの数順の影響力になる。 アニメ業界外の評価基準があると大きい。 10000人フォロワーのアニメーターをぞんざいには扱えないだろう。

今ならカット単価いくらで何カットまでお受けしますとか… 自分で値段をつけてネット上で公開交渉。 完全に仕事内容とギャラをネットで開示してるアニメーターとかいると面白いけどね。いまだに電話で人集めとかアナログすぎだろ。

複数のアニメーターが集まってそういうサイトを作ったっていい。 制作会社を相手に会員契約にして。 手空きアニメーターに仕事を頼めるとか。そういうサービス。 アニメーター不足が騒がれているならそういう交渉の仕方もあると思う。

自分の価値は自分が決めるということです。 この感覚は圧倒的にほとんどのアニメーターに足りない。 自分は月いくら欲しい。何日休む。だから1日これだけ描くと。 ちなみに、アニメ一人受けできればアニメ業界外の仕事も受ける。 ネットがあるんだから天の雫の量を自分で決めればいい。

すごくベタベタな交渉術として20万を請求する時に「30万」という。 相手に値切らせて20にさせる。もし30そのままならそれでよし。 これは本当に超古典的な交渉術。 私なんか10万ももらえないです・・・。と弱気のひとは5万円くらいなってしまう。

あと「知り合いだから安くして」というのはズルい。 知り合いで品質が担保されているなら倍掛けくらいしてあげる。 これは自分が発注する側の心得でもある。 見知らぬ人に出せばリテイクも増えるし、質も不安定。 「知り合い=2倍」の法則。

「なぜ赤字スタジオが作品を作り続けられるか?」 答えは自転車操業です。 前回作品の赤字を次回作品の予算から穴埋めすることを言います。 ・1作品目成功→次作へ ・1作品目失敗→自転車操業へ… ・n作品目成功→次作へ ・n作品目失敗→自転車操業へ ※任意のnを代入。

無限に作品が成功し続けることは不可能でどこかで自転車操業になるか、スタジオ名を一新して別会社を作るか。 過去のネームバリューを使用して仕事だけ受けて自社で作らずに孫請け、ひ孫請けに出して、手数料のみとり膨大な借金の穴埋めに使います。 なのでどんなタイトルでも一律ギャラが同じに…

こういうのを知っていれば「〇〇」スタジオにいたというのが何の勲章にもならないことがわかる。スタジオにはいい時と悪い時がある。 「〇〇」作品の「〇〇」カットまで言ってはじめて価値がある本人の名刺になり得る。

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