2017年2月21日火曜日

意識している以上のモノは描けない。

意識している以上のモノは描けない。
イメージ以上にはならない。 
絵に「まぐれ」はない。 
それなら上手い人に何を学ぶか? 「何を意識していて描いているか」に尽きる。 
また教える側は何を意識すべきかを具体的に説明すべき。

上手い人は無数の意識を同時にしながら描ける。
下手な人は意識できることが限られているからまずは比率、バランス、大まかな目線誘導など個々に絞って意識すべき。 
それらがほとんど条件反射でできていけばより高度なイメージを形にできる。


余程感性に優れ才能豊かな人でない限り、教えてくれる先生の意識以上にはならないので最初に学ぶ人で意識のレベル=最終的なレベルが規定される。 
もちろん次々と先生を乗り換える、あるいはいいとこ取りしていけばイイだけの話。 いいとこ取り、あるいは最初に学ぶ先生を疑えるのもある種の才能…
模写は自分がなりたい絵描きとの対話。 
どんな意識で線を引っ張っているかのイメトレの時間。 
シャドウボクシングのように将来何も見ずともそのレベルの絵が描けるように意識しながら描くべし。 ただ単に表層の形だけを正確に模写しても効果は薄い、 『意識を正確に真似』するのが模写の本質。

では上手い人がほぼ共通して意識していることとは? 
「紙の中に描いているモノがまるで存在しているかのようにすべて描く」 これに尽きます。 
デッサンならまるで裸体を触るように。
建物ならまるで重さをまで意識して支えるように。 
机、椅子、車・・・ 人が使うことを意識して画面の端まで描く。


大友克洋が机の中の引き出しの中まで意識して描く
・・・ みたいなこと言ってましたがそんな感じです。 
そうすると今描いてる机では作業しにくい、この椅子は座れない・・・ などのおかしな部屋にはならないはず。 
入れる入り口、寝れるベッド。 当たり前にそこに存在するように描く。

定規を使うことの難しさとは・・・ まさにこの意識が薄れるから。 
硬い柔らかい、または遠近パース。 
定規を当てている時間も意識しないと「カンジ」がでない。 
ほんの少し定規を当て直したりズラしたり。
 なんとなくパースにあってるからここでイイでしょ? では全部硬いつまらない絵になる。

◉パース空間でデッサン力アップ

◉パース空間でデッサン力アップ 

部屋より車より街より…身の回りの人工物より圧倒的に人体は難しい。
人体ほど複雑な曲線物は身の回りにない。 
だから裸体デッサンを絵の練習でさせる。
ただ建物や空間が上手くなると応用的に人体デッサン力も上がる。 
実は人体もメカも建物も基本は同じ。

人は描けるが車が描けない…という人はおそらく人は描いたことがあるが、車は描いたことがないが正解。 
人はまず人に興味があるので多くの人が人を描いてるに過ぎない。 
しかし身近な人でさえもほとんどの自称絵描きはちゃんと描けない。 
僕も描けない。 人体とはそれだけで膨大な学問。

描けない人は丸と四角から人体を描こう‼︎ 
そして丸四角だけで軌道とタイミングさえ良ければ十分にアニメーションになる。 
人体のあまりの複雑さにめまいがしてデッサンしないとアニメが描けないと思ってる人は大きな間違い。 トッププロのアニメーションにはデッサン力は不可欠だが。

上手くなる3パターン

Q.理屈、頭でっかちで華がありません A.華のある「記号」、先人の技を正確に模写しましょう。

Q.華も理屈もないです。 A.とりあえず好きな快楽原則に基づいた落書き、模写もどきなどで楽しく描く習慣を作りましょう。

Q.何が好きかわかりません A.特に描く必要がないので描かない人生を送りましょう。またはたくさんの作品に触れましょう。

Q.絵に華があるとは思いますが色々曖昧です A.理屈、デッサンなど地味で遠回りな弱点を補強しましょう

◎上手くなる3パターン
1.手で覚える→数こなす 
2.目で覚える→上手い絵を知る
 3.頭で覚える→理屈を知る 
の関連QAです。 
どれかがないと必ず成長に限界が来る話です。

1.手で覚える →頭と目が肥えていても、沢山の名作を知っていても表現するために訓練が必要です。
 漢字の書き取りと同じで絵→言語→記号は絵の会話には慣れが必要です。 
上手い人でもブランクがあると腕が鈍るのはそのため。
 絵は絵世界言語だと思うとわかりやすい。

2.目で覚える →子供の頃から無限の優れたアニメ、漫画などコンテンツに触れているので中高のアニメ漫画好きの大半は実は無駄に目は肥えている。 
さらに自分が描く側になるためにより描いてる人の気持ちを意識したり絵描き別で追いかけたりよりマニアックに。

3.頭で覚える →絵の出来にムラがある人はなんとなくの手癖に頼ってるから。 
理屈を知ってると弱点がなくなりムラが減る。
 そのためにはノウハウ本を見る、自分なりにいろんな展開図や三面図を使ったり、抽象化、具象化織り交ぜて描く対象を分析する。

空間は基礎から牛歩戦術!!

◎部屋を描くのがあやしい人へ パース空間の基本は‥ 
『見えないとこまで全部描き切る』 『急がば回れ』 『牛歩戦術』 これにつきます。 
アイレベル、消失点、透視図法、広角望遠からあやしい人は立方体からやり直しを‼︎

自由自在に立方体=全面同じ面の箱が描けない人が部屋を絶対に描けない。 
立方体は大きな1ドットです。 
部屋全体が立方体±αでまず描けます。
 次に各家具が同じ立方体の複数パターンで描ける。
 慣れないうちは全部描ききり、それを最後にトリミングしましょう。

面倒くさがって曖昧に見えるところだけでこねくり回しても絶対に上手く描けません。 
これは絵の練習も人生も迷路も同じ。 
目先利益は上手く行かず一番遠回りが最短ルートであり必勝法になります。

衝動に素直に行動!!

◯衝動に素直に行動!!
プロに挑戦‼︎・・・する気持ちの人は辞めた方がいい。
アマチュアでもと余して、もっと上手くなりたい、もっと上手い人を見たい人がなるのが理想。 
僕は学生時代からアニメ業界か独立系かを多少考えた時期があったが当時のネット環境と自分のレベルを考えて業界の方にまだ勝算ありと見て入った。

タラレバはないが今くらいノウハウをネットで知れたりマネタイズの方法があれば僕みたいなタイプは独立系になってたかも。
というか遅かれ早かれそうなったわけだけど。 
少なくとも今後絵で食って来たい人は特に単一の会社、業界、職種で一生食っていけると思わない方がいい。

ただ今感じてる衝動に素直に行動して欲しい。 
ぼんやりとやりたい、やりたくない‥‥ 
そういう心の声を無視してきっと自分は好きなハズだから、一回決めたし、これをやらなきゃ‥‥ って思わないように。
 やってみてはじめて向き不向きもわかる。
 向いてたら続ける。
不向きなら即離脱‼︎

いやなこと苦手なことも我慢した方が伸びることもある。
 しかしそれにも限界がある。
 あまりに我慢の期間が長いと牙が折れた獣のように衝動がなくなり無気力かする。 
自分を鍛える、我慢する、時には煽てる。 
全部自分が自分ですること。 
自分をコントロールする。 
よりよい環境を選ぶ。

2017年2月10日金曜日

◉トレス、清書の心構え‼︎

◉トレス、清書の心構え‼︎
 ラフを修正するくらいに描くべし‼︎ 
よく素人時分にあったのがラフまでは楽しいけど、清書したら途端にショボくなる。 
これは気が抜けてしまったから。 
またラフは無数の線から1番見たい線を脳内補完するのでよく見える。 
清書の練習は沢山清書するしかない。

トレスは顕著に画力が出る!! 他人のトレスはまして難しい。 
ただなぞれば良いものではない。
 元絵の描き手の意図を読み、絵の意味を知らなければ「良いトレス」にはならない。 
本来は元絵描きと同等かそれ以上の画力がないと基本は劣化する。
アニメの画面の絵は悲しいか殆どがこの現象。

天才的に動きだけがうまい素人たまにいます。
しかし、プロで仕事する過程でつまづくのがこのトレス問題。 
どうしてもラフは描けても清書するとキャラキープや空間にのせたり厳しくなる。 
最終的な画面の良し悪しはやはりフィニッシュのトレスに依存するので上手いラフも最大限活きなかったりする。

これはラフをたくさん重ねるけどいつまでも一本に纏められない現象の人と原因は同じ。 この解決方法はやはり上手い人のトレス、またはそれに近いほど精度の高い模写のどちらかしかない。

ラフを描くときにもう一本引いてもいい・・・
 という心の甘えがある人はいつまでも一本にまとまらない。
 ここら辺が実はプロとアマの超えられない壁かもしれない。
 プロは最速で描く工夫をする。 
完成画面に少しでも貢献するために。または食うために。

元々綺麗なイラストや細かい絵が好き、細かい作業が好きな人は自ずと線が綺麗になっていく。
 そういう人は「綺麗に線をまとめる」才能があるということ。 
僕は少なくともそっちの才能はなかった。
 アニメーターでいうと動画や作画監督にそういう才能がある人が集まっている。

・・・なので簡単な話が動画か作画監督をやると線が綺麗になるのでオススメ。 
動画未経験、2原スタートのアニメーターやずっと原画のアニメーターは一本の線を決められずに簡単に言えば線を引くのが遅くて食えない新人も何人も見てきた。 アニメーターの場合は線スピード=作業スピード

この話は逆を言えば超絶上手い動画マン→速攻で作画監督を意味している。 
そのくらいニュアンスを拾える人がいない。 
なのでアニメーター志望者はなるべく動画をしっかり教えるスタジオに行って欲しい。
これがなかなかないので難しい・・・。

自分の動画の師匠もそうだったが・・・ 
「線の上修正」を最初に体験できたことは後々の成長につながった。
 線の上修正?・・・とは。
 元絵の線の上をトレスしているけど間違ったトレスの修正ということ。
 線の進入角が違う、ニュアンスが違う、元絵をイメージできていない・・・。

線の上をただなぞってもそれは何の意味も表現にもなっていない。 
コントロールされた表現に線がなっていなければ途端に絵は死ぬ。 
凡人ほど、才能がない人ほど本来はそういう人に教わって欲しい。

だから才能があるほど、伸びしろがあればあるほど最初に地味に動画をやって欲しい。
僕も動画が嫌で研修除いて一年ちょっとしかやっていないので偉そうなこと言えないがその時に教わったことでしばらくフリーで食っていけた。
馬鹿な制作の口車に乗って見切り発車でつまらない原画をやらないように。

2017年2月6日月曜日

透視図法と空間ビートの比較

◎断面→3レイヤー→間をうめる 
※空間ビート実践編 部屋、建物、街、車‥ 様々な立体物に共通する構築のパターン。 
透視図法を当てにして描くと側面が伸びる傾向になるので側面圧縮したい。 
各所の断面を把握し、量感を理解し、立体化することで実感のある表現になる。

◎理論的に成立する空間と見やすい空間は違う‼︎ 
透視図法を駆使して理論的に正しい空間を描いた! 
でもなんだか空間が斜めに見えるし、何よりもカタイ感じ‥‥。
そんな時に試したいのが空間ビートや断面3レイヤ間をうめるやり方。

本来、透視図法のアタリの放射線を描いてるときも空間を意識したいが一点から定規で描いてる間に作業になり空間構築を忘れてしまいがち。 
そして何より、リアルな空間で同じ方向に平行に並ぶモノ同士でないと同じ消失点から発生させることができない。 
これが透視図法の弱点。

不揃いな向きで空間に無数に並ぶ建物を透視図法で描くためには無数の消失点を設けて一軒ずつ窓枠を描いて‥‥
とあまりのシンドさに作業になり空間を意識出来なくなる。 
透視図法でも空間ビートでも共通するポイントは常にそこに人がいて建物を使うイメージ。
それに合わせて入り口や窓を描く。

建築など設計図には透視図法は無論向いてるが絵やアニメーションのレイアウトには見せたいモノを平面レイヤで捉えそれ同士の間をうめる手法の方が簡単で自由が高い。 
人形劇でよくある近景、キャラ、遠景の3レイヤと考えるとわかりやすい。

◎透視図法を使った時によくあるミス 
・左右の建物の縮尺が変わる 
・まっすぐ過ぎるありえない道 
・角度のある放射線で道幅が把握しにくい 
⇩解決法 《消失点でなく消失面でとる》 
・点でとるから同一平面平行に限定されるがもっと緩やかな円を消失点周辺に描いてそこらへんから放射線をとる

《消失点でなく消失面でとる》
 ・リアルな街などにある緩やかなに同一方向同一平面を再現しやすい。 
・この場合も建物のサイズ感、ボリュームを意識して放射線を取る 
・大事なことは定規で綺麗な線を引くことではなく定規を使おうが使うまいが常に
《線をコントロール》すること。

線はコントロールされずに無意識に引かれた場合、途端に力をなくす。 
表現にならず作業になる。 
これが定規を使う難しさ。 
定規を使いつつ、コントロールするのはかなり難しい。 
定規を使って無意識になんとなく線を引くと線の集まりは空間を表現できず放射線ののなんかになる。

最初にパース線を決めてその後にキャラを配置するのはダメ‼︎
これだと上手くキャラ配置出来ない。
 パース線=カメラアングルそのもの。
 俯瞰煽り画角がパース線で決まる。
 自分である人を撮影する時をイメージしてみよう。
 まず人の配置を決めてそれに合うアングルを探すハズだ。
つまり順番としては… 
1.キャラのレイアウトを大体決める 
2.1が成立するアングル=パース線決める 
3.パース線を元にキャラを詰める これはアニメのレイアウト方法。 
アニメの場合1で最初、最後、途中のおさまりを決めてからパース=背景を決めて、それに合わせて間の動きをうめる。

よく新人原画マンで意味不明のパース線が空にまである場合がある。
しかもかなりキツイパース。 
パース線を引くということはその分の遠近差がなければいけない。 
大事なことはよくわからない放射線を慣習で引くのではなく、自分の中での遠近を画面内に構築すること。 
放射線で遠近が見えるか?

2017年2月5日日曜日

◉成長の過程に合わせた練習方法例

◉成長の過程に合わせた練習方法例
1.落書き期→描き始め、描くことが好きになるように快楽原則に基づく。
 2.模写期→1に限界を感じ、先人の技を吸収し、記号を獲得
 3.デッサン期→リアルな形を学び、理解する
 4.オリジナル期→無数の過去作品を知り今までにない一手を模索する。

世の中では簡単にオリジナリティとかいうが少なくとも落書き→模写→デッサンのループをなんども繰り返し、マスターしなければ… オリジナル→歴史上の新手なんてうてるハズもない。 もっと君のオリジナリティをなんて簡単にいう絵の先生がいたらそいつは…

歴史を知らずにオリジナルだと思い込んで描いた絵は今までの何かの出来損ないかあるいは「個性的」な記号のパクリのどちらかになる。 歴史が進めば進むほどあるメディアにおけるオリジナルは難しくなる。 どうすればいいか? メディアを変える。ジャンルをズラす。

VRは黎明期でまだほとんど作品がない。 VRでは時間軸もフレームもない。 その中でどんな表現が求められるか・・・ まさにいまサイレントムービーの横アングルしかない時代以下の状態。 ここで各メディアの歴史が役に立つ。 アニメの黎明期→成熟期→飽和期などどういう変遷を辿っているか?

今はあるジャンルでは飽和期だがあるジャンルでは黎明期。 飽和期と黎明期ではやるべきことがまるで違う。 飽和期では末端までノウハウが行き渡る「大衆化」のための教育。 黎明期ではとにかくいろんなパターンを試し失敗する、トライ&エラー。 自分が挑むジャンルの成熟度を知るのは大事!!

2017年2月3日金曜日

◎絵の賞味期限問題について

◎絵の賞味期限問題について
頑張って描いたけど・・・
すぐにげんなりしてしまう。
絵の上達という観点からすればすごく良い現象です!!
むしろ自分の絵に満足している時間が長ければ長いほどに成長スピードが遅くなります。

あとは自己満とげんなりのプナスマイナスの差し引きですね。
描いている間中は自己満してないと完成しない。
描き終わったらもう直したいところがある・・・。

これは不慣れな描き始め時期には致し方ないと思います。
僕もそうでした。

自分なりの必勝パターンがないとずっと下手な自分の絵になります。
徐々に慣れて「型」が増えていくことで形になり萎えることが減っていきます。
そのために正確な模写は落書き時期の脱出のために有効になります。

◎まとめ
萎えるは成長のために大事。
しかし次につながらないと意味がないので落書きに不満が出てきたら正確に模写しよう!!


2022年塾生T ・Hさん受講感想「受講してよかったこと」

  私塾の申し込み締め切りが間もなくに迫り、キャラコース受講中のわたしも残る課題が3月分の2回となりました。 去年キャラコースに申し込んでからもう1年が経とうとしてるんですね〜 ここでこの1年(正確には11ヶ月)を振り返りたいと思います。 受講を迷ってる方にも、判断材料になれば!...